乗鞍高原と乗鞍岳畳平を結ぶ「乗鞍エコーライン」(長野県道84号線)の中腹
マイカーで行ける最終地点が標高1800mの
三本滝駐車場です。
そこから歩いて20分で、長野県の指定名勝である「三本滝」まで行くことができます。

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【三本滝豆知識】
小大野川にかかる乗鞍三滝のひとつ。三滝は下から番所(ばんどころ)大滝、善五郎の滝、
そして一番上が三本滝です。

「長野県の指定名勝」にもなっていて、
水源の違う3つの沢から流れ落ちる滝が乗鞍火山の溶岩の段差を流れ落ち、
1つの場所に集まっています。
各滝の落差はおおよそ50~60m。滝口(滝の上部)の標高は1840m。
3つの滝のうち、小大野川の本流は中央の滝。「本沢」にかかる「本沢の滝」と呼ばれています。
向かって右の滝は「黒い(クロイ)沢」にかかる「ナメ滝」、
あるいは「クロイ沢の滝」と呼ばれています。


一番水量の少ない向かって左側の滝は、
「無名の沢」にかかる「無名滝」と呼ばれています。(身も蓋もない名前ですね…)

中部山岳国立公園特別地域内にあり、一帯は常緑針葉樹のシラビソやコメツガ、
紅葉が美しいカツラ、ダケカンバ、ナナカマドなど亜高山帯の森に包まれています。

乗鞍エコーラインのマイカーで行ける最終地点、三本滝駐車場から徒歩約20分。
帰りは登りなので30分ほど。
森に入ると比較的なだらかな道が続きますが、一部ぬかるんでいる箇所もあります。

滝の近くで吊り橋を渡りますが、
その後は木の根や岩の上を歩くので滑りにくい靴でお越しください。


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【乗鞍修験の聖地】
さて、乗鞍岳は富士山、立山、白山、御嶽山などと並ぶ
山岳修験の大霊場だった山です。

山頂の剣ヶ峰には信州側に朝日権現神社、
飛騨側に乗鞍大権現(乗鞍本宮奥宮)の二つの祠が背中合わせに祀られています。
三本滝は乗鞍登拝の中間地点にあり、
修行者たちが滝に打たれ禊(みそぎ)、水垢離(みずごり)をした場所とも言われています。

修験道においては滝自体が御神体であり祈る対象となっていましたから、
滝に打たれるのは神仏と一つになろうとする特別な行法でもありました。
実際、滝下辺りにはいくつもの岩屋岩穴があり、
行のために山籠するには好都合の場所でした。
また「本沢の滝」の中腹岩壁には、
「不動明王」「摩利支天」「蚕玉(こだま)様」などの石仏が
祀られていたと言われています。

それらの石仏は大正時代の始め、
冷泉小屋を創設した筒木音弥さんが
「乗鞍の摩利支天に移して欲しいと不動明王に言われた夢」を見たため、
そのお告げに従って摩利支天岳に担ぎ上げたと伝えられています。

乗鞍修験の聖地であった三本滝。
滝のしぶきを浴び勇壮な水音を聞くだけで、清められる心地がする場所です。
