名前の由来は平安時代!?「番所大滝」

「雨の日に歩けるところありませんか」と聞かれたときにご紹介するのが、
この「番所大滝」(ばんどころおおたき)です。

番所大滝と顔なしさん

落差40m、幅15m。
水量も多く「乗鞍三滝」の中では一番規模の大きな滝です。

勇壮な番所大滝


県道沿いの有料駐車場(小型200円、大型500円)、もしくはバス停「番所大滝」から、徒歩10分。


150段の階段を下ります。

3つの滝の中では唯一、遊歩道がおおむね舗装されているので足元がぬかるみませんが、
落ち葉を踏むと滑りますのでお気をつけください。

しかし本当は、晴れの日の方が格段によいです。
展望台の下では午前中、滝のしぶきに虹がかかることもあります。

滝の飛沫にかかる虹(右下)

また滝の上流、「千間淵遊歩道」もおすすめです。
駐車場から県道を15分ほど乗鞍岳に向かって歩くと、JAあづみ大野川支所があります。


その先、7番の標識で右に曲がり50mほど進むと、ガードレール添いに遊歩道の入り口が現れます。


そこから森に入って渓流まで下りるのですが、集落の裏にこんな別天地があるのかと思うほどの美しさ。


途中に千間淵や番所小滝といった、素晴らしい撮影ポイントもあります。

千間淵


ただし、足元は滑りやすい階段と土の道。
撮影ポイントは岩の上なので、誤って川に落ちないようご注意ください。

番所小滝

渓流の横を20分ほど下り、吊り橋を渡って130段の急な階段を上がると、番所大滝の駐車場に戻ります。

夢見橋
駐車場への最後の登り

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【番所大滝豆知識】

乗鞍岳の山頂、剣が峰(3026m)付近から流れ出た溶岩は、乗鞍高原で広大な溶岩台地を形作っています。
そこを流れるのが小大野川。この川は溶岩の側端部や末端部で見事な滝となって流れ落ちています。

代表的なのが「乗鞍三滝」と呼ばれる
「三本滝」(滝口の標高1840m)、
「善五郎の滝」(同1525m)、そして
「番所大滝」(同1248m)です。

三本滝のひとつ「ナメ滝」
善五郎の滝と乗鞍岳(滝見台より)
真冬の善五郎の滝
番所大滝

番所大滝付近では溶岩の厚みは60mに達していて、滝の横には溶岩が冷えたときに出来る板状摂理も見られます。

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ところで、番所大滝は「ばんどころおおたき」と読みます。
ばんしょおおたき、ではありません。
滝のある地区の住所も、松本市安曇(あづみ)番所(ばんどこ)です。

一方、番所地区のお隣、乗鞍高原の入口である大野川地区には江戸時代、
通行人の検査や徴税などを行う「番所」(ばんしょ)がありました。

当時松本から乗鞍を経て飛騨に抜ける「鎌倉街道」が、ここを通っていたからです。

ルートは松本〜波田〜稲核(いねこき)〜入山(にゅうやま)〜角ヶ平(つのがたいら)〜祠峠(ほこらとうげ)〜大野川〜檜峠〜沢渡(さわんど)〜池尻〜安房峠(安房山の南の鞍部)〜平湯でした。

「乗鞍の歴史と民俗」より転載

このルートは飛騨だけでなく、越中(富山)方面から鎌倉に向かう人たちも使う幹線道路でした。

(ちなみに安房峠は飛騨ではザレ、あるいはザラとも呼ばれていました。
 佐々成政の「ザラ峠越え」は、安房峠越えだとの説もあります)

そんな交通の要所「大野川」にあったのは「ばんしょ」。
一方、滝の所在地は「ばんどこ」です。
なぜ、「ばんしょ」ではないのでしょう。

実は番所地区は、平安中期に編纂された書物「延喜式」に登場する
「大野牧」(松本市波田から山形村付近にあったとされる勅旨牧)の
放牧地だったのではないかと言われているのです。

実際、馬の背など馬に関する地名も複数あります。
番所地区から上はなだらかな高原地形なので、放牧にはうってつけです。
そして朝廷への献上馬を育てる牧場の管理をするための施設「ばんどころ」が、
ここに置かれていた可能性があるというのです。

一の瀬園地と大カエデ

確かに乗鞍高原は冷涼な上、太陽光をたっぷり浴びたよい牧草が育ちます。
近年では番所地区よりさらに奥の一の瀬園地で、大正8年(1919年)から平成21年(2009年)まで
夏に牛馬の放牧が行われていました。

現在は番所地区の「ばんどこメリーランド」でヤギが飼育されており、
そのミルクで様々なスイーツが作られています。

▼ばんどこメリーランド

古代から現代に至るまで、乗鞍はまきばとして利用されてきたわけですが、
それにまつわる地名が滝の名前として残されているということなのです。

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番所大滝と展望台